毎年会員の皆様から一番多く質問を受けるのが、帯の締め方です。そりゃ確かに、半纏にチョウチョ結びじゃいささか恰好悪い。帯の締め方がビシッと決まっていると、まさに『粋』! 気持ちも引き締まるってもんです。
今回は祭半纏の帯の中でもポピュラーな「角帯」の基本的な締め方の一つである『男結び』を紹介します。名前は『男結び』ですが、女性着物の『貝の口』とほぼ同じ結び方ですので、女性の方も子供たちもこの締め方で全然OK。何回か練習すれば一人で締めることができるようになりますので、是非トライしてみてください。なお小生、着付けの専門家でも何でもありませんので、ヘンテコリンな解説かもしれません。ご容赦をば・・・。(平成27年1月 内容の見直しを行いました。)
1.まずは帯の片方を右手で持ち、50cmくらい縦に半分に折ります。この部分を『手』と呼び、折山が上にくるように腰骨の辺りに当てます。
2.『手』が上に逃げるように帯を巻いていきます。テンションを掛けて、締め具合を確かめながら締めていきます。帯の長さや体型によって2~3周巻いていきます。
3.『手』と反対の帯の端が近づいてきたら、内側に折り返します。この折り返した部分を『垂れ』と呼びます。
4.『垂れ』の折り返しを調節しながら、『手』『垂れ』の長さを調節します。比率はおへそを中心として「手:垂れ=1:1.5~2」くらいですが、ここの長さ調節で最終的な仕上がり形状・大きさが変わってきますので、繰り返し練習して好みの長さをつかんでおきたいところです。
ここまでの手順において、締め終わった後の締め加減を意識して一定のテンションをかけてしっかり腰に巻きつけていくことがポイントです。ギチギチ締め過ぎもNG、ユルユルがばがばもNGで、締め加減も何回か練習してベストなところを掴んでみてください。そして『貝の口」と呼ばれる結びを作ります。
5.『手』『垂れ』の長さを調節したら、『手』の折山が下になるように斜め下に折り返し、『垂れ』の内側を通します。
6.一般的な片結びの要領で、『垂れ』を『手』の内側を通して立ち上げて締めます。『手』をできるだけ横向きに締めると、帯の重なりの崩れが少なく仕上がります。
9.再び片結びの要領で、『垂れ』を『手』の内側を通して立ち上げ、形を整えます。『手』「垂れ」をV字に立ち上げるように結べるかがポイント。
10.形を整えて『貝の口』が出来上がり。『貝の口』周辺の帯の重なり具合なども整えます。
11.『貝の口』が出来上がったら、時計回しに帯を回して『貝の口』を背中まで回します(反時計回しで帯を回すと大きく着崩れを起こしてしまいます)。半纏にしわが寄るなどの着崩れなどを適宜直します。
12.『貝の口」は背中のど真ん中から少しずらした腰脇が最も「粋」と言われています。これで男結びの完成です。
『貝の口』の『手』『垂れ』の長さは個人の好みになりますので、練習しながら自分のベストの長さを見つけてください。今回紹介したのは、反時計回りに帯を巻き『貝の口』の『手』が右上がりとなる「江戸巻貝の口」と呼ばれる関東型の締め方ですが、時計回りに帯を巻いていくと『手』が左上がりとなる「京巻貝の口」と呼ばれる関西型の締め方となります。(上溝の祭りは、神輿の御霊は京都八坂神社より勧請する素戔嗚尊、神輿は鳳凰の尾が垂れ下がる関東型、担ぎ方は江戸前担ぎ・・・。はて、どちらの締め方が正解なんだろか??)
今回は初心者でも一人で締めることができるように、前結び→後ろ回しの方法を紹介しましたが、『貝の口』を背中にまわす際に着崩れが起きやすいため、上級者は初めから背中で『貝の口』を結んでしまうそうです(小生はカラダも硬く不器用なので後ろで結んでいる間に腕がつるのが関の山・・・)。ともあれ前結び→後ろ回しでも練習すれば十分綺麗に帯を締めることができます。
この男結び、ふくらはぎに真田紐などで結ぶ「血止め紐」でも応用できますし、祭りだけでなく、例えば旅館に宿泊して浴衣の帯を男結びで締めれば、「粋だねぇ」と言われるかも(しかもそう簡単に緩まない!) この他にも「神田結び」「一文字結び」「片ばさみ」など色々な締め方があり、それぞれ個性ある粋な締め方ですので、折を見て紹介できればと思います。
※ 締めている帯 >> 桐生織男帯 縞トッコ角帯
東京世田谷の御神輿初心者です。教わったやり方をすっかり忘れてしまって、自学せねばと思いYoutubeや他のお祭り・着物サイトなど、あれこれ見た挙句にたどり着いたこちらのサイト。もうダントツで分かりやすかったです!!たちどころに成功できました!UP画像だけでなく、文字でのご指導入りという点が非常にポイント高いと感じています。これからもちょくちょく寄らせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました!