祭禮も近くなってきたことですので、化粧紐・飾り房のお話でも・・・
漆・金装飾で彩られた神輿をさらに艶やかに引き立てる化粧紐と飾り房。その色は金茶・紫・黒などが一般的ですが、我々五部会の神輿は水浅葱(みずあさぎ)と呼ばれる日本の伝統色を取り付けています。いつの頃からこの色の化粧紐・房を掛けるようになったのかは定かではありませんが、上溝でこの色の化粧紐を掛けているのは五部会だけ。我々スタッフのみならず、担ぎ手・氏子の強いこだわりと誇りが込められています。
水浅葱色とは、和服の色で一般的な浅葱色(藍染の薄い青色)よりもさらに水で薄めた色で、八掛や長襦袢にしばしば用いられてきました。淡く緑みが掛かっている藍色を「水色」、淡く紫みが掛かっている藍色を「空色」と区別されますが、水浅葱は水色の範囲に入ると言われています。現在ではJIS慣用色という工業規格があり、水浅葱は「1.5B6/3」というマンセル値で定められています。これをパソコン上で表すというのがなかなか難しいようで、Web上に転がっている「水浅葱」を探してみると色々な「水浅葱」が出てきます(苦笑)。
Web上で見つけた「水浅葱」(番号はPC上のカラーコード)
「色と言うのは個人個人の主観が入るので、一言では済まない世界。」とは塗料・塗装関連の仕事をしている友人の弁。捉え方は人それぞれで、「この色!!」とはなかなか言えないようです。さらに、江戸時代と現在では色の捉え方が変化し、水浅葱は青みが薄れ渋さが増した・・・という文献も目にしたこともあり、突き詰めれば詰めるほど難しい世界のようです。ともあれ、上掲の色見本で言うなれば、一番下の色が五部会の神輿の化粧紐・房の色に近いような気がします。