茅ヶ崎 鶴嶺八幡宮の神輿


湘南地区に夏の到来を告げる『浜降祭』。茅ヶ崎の海岸に向けて神輿を渡御し禊(みそぎ)を行う、由緒ある祭りです。今年も7月20日未明~朝にかけて挙行されますが、それを前に祭りの起源であり主催神社である鶴嶺八幡宮(鶴嶺八幡社)を訪ね、同神社の宮神輿を拝見してきました。

150718 鶴嶺八幡宮神輿
鶴嶺八幡宮 神輿

茅ヶ崎地区の総鎮守である鶴嶺八幡宮の神輿は、浜降祭に参加する神輿の中で最も古く伝統のある神輿で、文化3年(1806)に半原の宮大工 柏木右兵衛安則によって製作されたといわれています。柏木右兵衛安則 ・・・ そうです、我々上溝五部会の神輿と同じ時期に同じ宮大工によって製作された、まさに兄弟神輿なのです。今回、神輿大改修の関連事業である歴史・由緒の調査の一環として、鶴嶺八幡宮様より格別の御協力を賜り、実行委員会の役員で視察してきました。

台輪寸法が4.2尺≒127cmで、五部会の神輿(3.5尺≒105cm)より一回り大きな神輿ですが、何より驚いたのはそのシルエット。屋根の非常に緩やかな照り(傾斜形状)、胴回りの造り、台輪形状が我々五部会の神輿と実によく似ています。生みの親が同じですので、当然と言えば当然ですが・・・

070701 五部会神輿
上溝五部会 神輿

装飾を取り付ける前の同じ姿の画像と比べてみれば一目瞭然です。鶴嶺八幡宮の神輿は、屋根が唐破風型(中央を凸として装飾する造り。五部会は屋根延型)、勾欄が二重化されているなどの違いもありますが、基本構造が同じですので本当によく似ています。

150718 鶴嶺八幡宮神輿 二軒繁扇垂木
鶴嶺八幡宮 神輿 軒下垂木

軒下の垂木。柏木匠家の神輿の最も大きな特徴である二軒繁扇垂木となっており、見事な放射形状を描いています。五部会の神輿にも見られる大きな特徴です。

150718 鶴嶺八幡宮神輿 台輪
鶴嶺八幡宮 神輿 台輪

台輪も泥擦が付く二重構造で、棒穴形状も同一。棒穴部の装飾金物は五部会のものと全く同じ金物でした。側面には湘南の「どっこい担ぎ」の神輿の特徴である「箪笥」が取り付けられていました。他にも、両神輿に共通している箇所は多数見受けられ、委員一同驚きの連続でした。

神輿視察の後、鶴嶺八幡宮の宮司様・総代様より同神社の神輿の由緒・歴史について貴重なお話を拝聴し、資料なども頂戴しました。心温まるご配慮を賜り、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。なお、今回の視察・調査内容については、神輿大改修事業の完了後に発行を予定している記念誌に掲載し、五部会会員、関係する皆様に配布し、後世まで記録として残していきたいと考えています。

150718 鶴嶺八幡宮神輿 参道
鶴嶺八幡宮 参道

境内より伸びる緑豊かな参道。国道1号線まで伸びていて、その交差点に一の鳥居が設けられていますが、かつてはその付近が海岸線だったそうです。海に繋がる参道を持つ神社ゆえに、浜降祭と名が付く以前よりその付近で禊の神事が行われていたそうです。現在は、浜降祭の宮出は午前3:00。鶴嶺八幡宮の神輿を先頭に周辺の3基の神輿を伴い、両脇の灯篭に灯がともされたこの参道を通って太鼓橋を渡り、茅ヶ崎海岸を目指すそうです。本年の浜降祭も盛大に挙行されますことを祈念申し上げます。

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